“Over The Rainbow by Richard Williams Quartet”

 ピーコートに使われた生地は、タスマニアのポロワースを原毛にし、オリジナルで紡績した48番単糸を6ply(6本撚り)にした贅沢なものです。手法としては2本ずつ撚らずに合わせただけの「合糸」をし、それを再び撚り合わせるという、とても凝った方法を取っています。その上で「ロイヤルフランネル」を施していますので、毛羽乱れの少ない、上質なフラノ生地になっており、原毛の特性を生かしながらも、適度のハリコシを持った、とても着映えがする生地に仕上がっていると思います。色は経糸に茶、緯糸に黒を使ったブラウン、ネイビーの2色の展開です。

 デザインもハリコシのある生地の特性を意識しました。ピーコートとしては着丈も85cmと長めで、深くベントを入れた堂々としたスタイルにしました。シルエットもボックス調です。ポケット位置が高く、しかもフラップも大きめで幅広タイプ。胸元は第1ボタンまで完全に閉めてもサマになるように独特のデザインに。衿裏には細かくステッチを施し、衿が美しく立つような仕立てに。上まで閉め、衿を立てると、さらに凛とした印象を醸し出します。また袖口にもクラシックにカフスを付けました。

 いちばん見て欲しいのが裏の仕立てです。よく、スーツで表地を裏地に使った「大見返し」という手法がありますが、これはもっと贅沢に前身頃の裏地全体に表地のウールが使われています。この仕様には2倍近い表地が必要となります。裏地が付くのは背中の中央部分だけです。こんなウールコート、既製服では絶対にお目にかかれないと思います。注文服ならば、こんな仕立てもあるのではないかと、こんな仕様にも今シーズンは挑戦してみました。

Item:
R.F. Pea Coat
Number:
18AWCA0128
Price:
182,000
Size:
44,46,48
Material:
Wool100% LINER/Cupro88% Wool12%, Silk62% Linen38%
Color:
NAVY , BROWN